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![]() Charlie Haden (B) Michael Brecker (Ts) Brad Mehldau (P) Brian Blade (Ds) with String Orchestra 1. American Dreams 2. Travels 3. No Lonely Nights 4. It Might Be You 5. Prism 6. America The Beautiful 7. Nightfall 8. Ron's Place 9. Bittersweet 10. Young And Foolish 11. Bird Food 12. Sotto Voce 13. Love Like Ours 14. Some Other Time 最近、この二人がとても好きである。 チャーリーは前から好きだったのだが、震災の影響で音楽が聴けなかった時、唯一聴けたのがチャーリーだった。このCDはその時期に買ったのだが、「アメリカン・ドリーム」という題名にしては、あまりにもメランコリック過ぎる内容に、とっぷりと入り込まざるを得なかった。ブラッド・メルドーやブライアン・ブレイドといった最早超有名演奏家も、この盤で初めてとっぷりと聴くことができた。 しかしながら、まあ上手いわな、程度で何時も聞き流していたのがマイケルだった。この盤のテナーの録音がエコーが効き過ぎ、ちょっと立体感に欠け、引っ込んだ感じがするせいかもしれない。とにかく、印象がなかった。 実は、骨髄異形成症候群から進行した白血病のために、2007年に57歳という若さで亡くなったことも知っていたのに、マイケルは全く拙者の興味の対象外だったのだ。 それが先日、職場近くの中古レコード屋で、700円という安さで、1987年の遅すぎる初リーダー作のLPを購入して以来、すっかりマイケルにはまりかけている・・・・。 今日は書きませんが、あの盤は良いですよ。とにかく音が良い。テナーがよく鳴っている。本当に爽快です。 ジャズ批評ブック「JAZZテナーサックス」に上手く書いてある。 「60年代にコルトレーンが開発したさまざまな技法を完璧にマスターしつつ、ブレッカーはコルトレーンが抱えていた過剰な精神性や不安定な心理、あるいは音の氾濫によって「彼岸」を目指す超越的なものへの指向をすべて切り捨てて、トレーンの音楽を純粋に「楽器の技法」として継承した。」 まあ、数年前の拙者ならきっと破って鼻かんで捨てて踏みつけたと思える程ハラの立つ解釈ですが、そう「切り捨てて」書かれると納得できるところも多い。 技術的には、確かにマイケルは、コルトレーンの技術を完全にマスターした数少ないテナーマンだと思う。それが、前述の初リーダー盤では、存分に味わえる。それも爽快に。 それに、初リーダー盤のマイケルのソロは、全体の構築力が素晴らしいんよね。まるで、クリフォード・ブラウンのように。絶対に感情移入してしまうほどに。 きっと、技術と精神力のバランスがちょうど良い時に、制作できた盤なんだろうなと思う。 じゃあ、この「アメリカン・ドリーム」は、どんな盤か? マイケルが、骨髄異形成症候群を患っていることを明らかにしたのは2005年6月、とある。 この盤はその3年前なのですが、彼はその時、まだ病魔に侵されてはいなかった。 病魔に侵されていたのは、アメリカだ。「テロとの戦い」という名の病魔。 決して抜け出すことのない、貧困という名の病魔。 もはや「アメリカン・ドリーム」が夢物語でしかないのに、それを繰り返し語らなければならなかったアメリカ。そんな時代にこの盤は録られた。 濃いエコー。アメリカの音楽の全ての体現であるかのような、豪快で、華麗で、ロマンチックなマイケルのテナー。圧倒的にメランコリックなチャーリーのベース。音数の少ない、メルドーとブレイド。豪華なストリングス。しかし、その音楽は決して夜の摩天楼の瞬きを映してはくれない。 その表紙には砂漠が広がる。そして、まるでアラビア文字のような書体のアルファベット。美しい夕日。そう、チャーリーが見せてくれるのは、失われた(あるいは失われそうになっている)古き良きアメリカの辺境の街角の生活、優しさなのだ、と思う。 つまりは、しっかりと彼なりの戦いが組み込まれている。リベレーション・ミュージック・オーケストラと地続きなのだ。チャーリーはやっばり凄いと思う。 パット・メセニーの「80/81」で顔を合わせたチャーリーによって、きっとマイケルは変わった。華やかな世界の影を見るようになったのだろう、と勝手に解釈する。 まあ、そんな起承転結のない妄想を抱きながら、ほっこりとこの盤を聞いてます。 American Dreams おっと、そういえば、10月の第1水曜日分として、支店の「ジャズ侍のブログ小説~青い光」を更新しましたので、またお立ち寄り下さい。 ▲
by jazzamurai
| 2011-10-07 00:02
| 無節操 ジャズ三昧
![]() Tonstudio Bauer ,Ludwissburg Carla Bley — piano, glockenspiel Don Cherry — pocket trumpet Sharon Freeman — French horn Mick Goodrick — guitar Charlie Haden — bass Jack Jeffers — tuba Michael Mantler — trumpet Paul Motian — percussion, drums Jim Pepper — flute, soprano saxophone, tenor saxophone Dewey Redman — tenor saxophone Steve Slagle — clarinet, flute, alto saxophone, soprano saxophone Gary Valente — trombone A1.Els Segadors (The Reapers) (traditional) – 4:14 2.The Ballad of the Fallen (folk song) – 4:19 If You Want to Write Me (Si Me Quieres Escribir) (traditional) – 3:55 Grândola Vila Morena (Afonso) – 2:11 Introduction to People (Bley) – 3:55 The People United Will Never Be Defeated (El Pueblo Unido Jamás Será Vencido) (Ediciones–Ortega) – 1:40 3.Silence (Haden) – 5:49 B1.Too Late (Bley) – 8:24 2.La Pasionaria (Haden) – 10:26 3.La Santa Espina (Guimerá) – 6:58 東北地方太平洋沖地震で亡くなられた全ての人々を哀悼いたします。 亡くなられた方々のご家族、ご友人に哀悼の意を表します。 被災し、避難して、不安の中に身を寄せ合って過ごしていらっしゃる全ての人には、何と言って良いのか、未だに分かりません。 私は、3月11日以降、声を出せずにいます。 思いを言葉にすることが出来ないのです。 自分に発する思いがあるのかどうかも分かりません。今だって、酒の力を借りて書いているのです。 自分には悲しみ、怒る以外の何もできません。自分の精神状態でさえ、コントロールできないのですから。 ビートたけし氏は週刊ポスト2011年4月1日号でこう言ったと聞きました。 この震災を「2万人が死んだ一つの事件」と考えると、 被害者のことをまったく理解できないんだよ。 じゃあ、8万人以上が死んだ中国の四川大地震と比べたらマシだったのか、 そんな風に数字でしか考えられなくなっちまう。 それは死者への冒涜だよ。 人の命は、2万分の1でも8万分の1でもない。 そうじゃなくて、そこには「1人が死んだ事件が2万件あった」ってことなんだよ。 私は、この言葉に共感します。 最初の地震で倒壊した家屋により亡くなった人 卒業式に落ちてきた天井により亡くなった若者 津波に巻き込まれ、溺死した人 ランドセルを残したまま消えたこどもたち 「父ちゃんを置いていけない」と言って、病棟の4階に残って流されてしまった老夫婦 倒壊家屋から脱出できず生きながら焼死した人 寒さの中で凍死した人 病院に運ばれる途中で亡くなった人 薬がなく体調を悪くして亡くなった人 そんな大雑把な言葉では語りつくせない、無念な死 数え切れない、無念な死 その死のお話がおそらくは2万件以上、なのです。 その死を全て身に寄せて考えなければ、何も始まらない。 そんな風に考えている。 ・・・・でも、それは不可能です。 私は震災の翌週、中学校同窓会に行きました。 中学校の頃、大好きだった、やっぱり永遠の憧れの人とも会いました。なんだか、妙にはじけてしまって飲み過ぎたようです。 次の日は大阪ドームでオリックス対広島のオープン戦を見て、覇気のないカープの選手に腹を立てました。 でも、それは本当のことなのでしょうか。 通勤電車で一人になったり、家に帰り一人で酒を飲むとき、それらの日常の生活は、遠くに追いやられてしまう。私は、とことん無力な自分を抱え、きつい口調で独り言をするしか、なくなってしまう。ついには、なんだか自暴自棄な気持ちに至ることしかできなくなってしまいます。 お前には全く意味がないと。 Twitterは、非常に有用な情報提供源でした。その有用性を感じます。 ただ、私はライムラインに流れる様々な意見、言葉、情報、ガセネタを見ながら、自分が徐々に引き裂かれていくことも感じました。 何故、こんな非常時に、膝を抱えることしか出来ないのか。とことん、自分が嫌になります。 子どものちょっとした間違いを正すのに、説明でなく、怒鳴り声を用いてしまうのか。最悪です。 そして、こんなぐちゃぐちゃの気分の時も、遺体は被災地に晒され、人々は亡くなり、カダフィは反政府軍の頭上に爆撃し、抑止を名目にフランス軍は一般市民を巻き添えにし、イスラエルはパレスチナを攻撃しています。 音楽が全く聴けなくなりました。 ただ、酒も飲まず、どうしようもない荒れた気持ちを抱えた夜に、このレコードをかけました。 「Els Segadors」は作物を刈り入れる人たちを歌ったスペイン市民戦争に由来する曲。 「Si Me Quieres Escribir」もスペイン市民戦争に由来する曲でスペイン共和国人民軍の戦闘歌だった。 「Grândola Vila Morena」はポルトガル放送局から流され、1974年にポルトガルのファシスト政権に対して反乱を起こすよう呼びかける、若い徴兵軍士官たちへの合図となった。 「El Pueblo Unido Jamás Será Vencido」はCIAがクーデターとピノチェト独裁政権を支援して以来、チリの抵抗運動歌になっている。 「La Santa Espina」はカタロニア地方の古い歌で、共和国軍戦士によってスペイン市民戦争時にリバイバルした。 そんな曲たちが、どれほど心に染みたか。 1階で宿題をやりながら聞いていた息子が「良い曲やな~」と言った明るい声に、どれほど救われたか。 誠実な演奏に、カーラの音数の少ない可愛いピアノに、ヘイデンの太いベースに、ラッドのバリバリと豪快なトロンボーンに、どれほど癒されたか。 そして、「A3」。マントラーによって導かれ、カーラによって、きっかりとアレンジされ、繰り返す度に厚くなるアンサンブル。その絶頂で迸る、ドン・チェリーのトランペット。 ありがとう、ドン・チェリー。あなたの生命感溢れる輝いた音、奔放なフレーズによって、私は行き場のない感情を涙として救うことができた。 限界はある。だが、自分のできる数少ないことをやるしかないのだ。 この戦いは、きっと長丁場になるのだから。
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by jazzamurai
| 2011-03-28 01:00
| 無節操 ジャズ三昧
![]() Dewey Redman (ts, musette, maracas) Keith Jarrett (p, Pakistani fl, per) Charlie Haden (b) Paul Motian (d, per) Guilherme Franco (per) A1.Rotation 2.Everything That Lives Laments B1.Flame 2.Mysteries キース30歳、ヘイデン38歳、モチアン、デューイ44歳。おっと、この頃のアメリカン・カルテットには、ブラジリアン・パーカッショニストのギレルミ・フランコ29歳もいる。 にしても、結構年上の癖の強い、それでいて極上のメンバーと組んでいたこのカルテットの人気は非常に低いようだが、拙者は大好きである。 それも、最近、特に好きになってきた。フュージョン大流行のこの時期、きっと無視されていただろう、このカルテットの、硬い音、喧騒、そして時折に見せる美しさ、暖かさを。 その気持ちは、やっと手に入れたこの盤で強くなった。 ホントに人気が無いんだと思う。フォトショップで整形したけど、これカット盤でジャケットボロボロ。900円でオークションに長年店晒しされていた。キレイなのが欲しかったから、見ない振りしてたのに、落とす人がいないから、仕方なく落としてみました。盤もカビカビでしたが、拭いたらピカピカ。良かったっす。スレも音に出ず。 この盤より前に入手していた「シェイズ」もカット盤。こんな盤しか、インパルス・オリジナル盤を見たことが無いんだもの。このカルテットのインパルス盤は「生と死の幻想」以外、殆ど聴かれたことや、評価されたことは無いのだと思う。 でも、このインパルスの緑ラベルは非常に音が良いです。特にチャーリー・ヘイデンのベースが良い音で録られてる。若干くぐもった感じのデューイ・レッドマンのサックスも、良い。 アメリカン・カルテットが嫌いな人はデューイが嫌いなんだ、という話も聴くけど、技巧に走らない、誠実なフレーズは暖かい。 この盤に流れる、メランコリックな雰囲気。特に「A2」。題名や、冒頭のヘイデンのベースからして、なんともつらい感じが漂い、キースのソロで癒され、デューイのソロでまたも昇華を目指す。だが、この曲の場合は沈鬱なテーマに帰ってしまう。 タイトル曲の「B2」。リズムはフリーだが、喧騒感は無い。無駄な音も無い。淡々とした、演奏が良い。キース作のテーマを吹かせれば世界一と言いたくなるデューイの説得力。派手さは無いが、全体をコントロールする力に長けたモチアン。そして、ソロを取れば圧倒的な世界を作り出すチャーリー・ヘイデン。フレーズ重視のデューイのソロが始るや否や、入り込んでしまわざるを得ない、なんとも言えない世界が広がりまする。 その世界を、キースの左手のドローンが包み込んでいる・・・・。 なかなか、凄い盤やと思うなあ、これ。「生と死の幻想」と同じ位の、濃密さがあるんとちゃう? この雰囲気は、なかなか抱かれることのない、独特の世界だと思うなあ。表題とおりの、音世界だ。 保存状態の良い盤があったら、もう一枚欲しいなあ・・・・。 あのキース・ジャレットの作品にしてamazonに在庫なし。ご興味のある方は、オークションや中古レコード屋さんで発掘されたし。 ▲
by jazzamurai
| 2010-11-13 20:20
| 無節操 ジャズ三昧
![]() Keith Jarrett (P, Ss, Wood Fl, Per) Dewey Redman (Ts, Per) Charlie haden (B) Paul Motian (Ds, Per) Guilherme Franco(Per) 1.Death And The Flower (22:52) 2.Prayer (10:12) 3.Great Bird (8:45) キース・ジャレット29歳の傑作、名演、名盤。これまで、何度聴いたか分からない。ソロで奏でられるフレーズは全て記憶している。 邦題「生と死の幻想」で知られているが、迷惑な誤訳ではないだろうか。「死と花」の方がしっくりくる。見開きジャケットの中に、キースの詩が記載されている。 「私たちは生(誕生)と死の間を生きている/あるいはそのように自分自身を納得させている/本当は自らの生の絶え間ない瞬間に、生まれつつあると同時に、死につつもあるのだ/私たちはもっと花のように努めるべきである/彼らにとっては毎日が生の体験であり、死の体験であるから/それだけに私たちは花のように生きるための覚悟を持たなければならないだろう」 うーむ。極めてハイデッガー的な考え方である。だって、ジャケットに書かれたバラは切り花だもの。一瞬に咲いて切り取られ、枯れていく切り花だもの。それは幻想ではない。 そんな余計なことは考えなくても十分に堪能できる作品である。LP片面を占める「1」。キースによる横笛の音から始まり(キースは、まるでアート・アンサンブル・オブ・シカゴのメンバーのように多楽器主義者だ)、パーカッションが絡んで、祝祭か、葬送の祭りのような小規模な喧噪が生まれる。そこでチャーリー・ヘイデンの重厚なベースのリフが流れだし、空気は緊張する。その上で次に踊る踊り子はチャーリー自身だ。オーバーダブで、チャーリーは躍動感あるソロをとる。その後に出てくるのは、案内役の妖精のように可憐なキースのピアノ。 そして、デューイが、フリージャズ出身のくせに、その優しい丸っこい音が、とてもきれいなテーマを、生の喜びを噛み締めるよう、その寂しさと昇華を噛み締めるように吹く。 続いてデューイのソロ。これが素晴らしい。キースは、ピアノ・トリオで演奏していた時、ボイスが必要になってデューイを呼んだという。ファンの中には、デューイが邪魔だという人がいるが、とんでもない。彼がテナーでキースの声を代弁するから、キースはうなり声を上げずに済むのだ。 そして、ポールがスネアをスタン、と落とした所から、デューイは「生」の淡々とした喜びを吹く。ポールのドラムは、好き嫌いがあるだろう。拙者は、上手いとは思わない。でも、ビル・エヴァンズの傑作に参加している彼のポイントを外さないドラムは素敵だ。8ビート気味にタツタンとスネアを落とす。それが、快活な躍動感を生む。 引き続くキースのソロ、チャーリーのソロも素晴らしい。キースのソロの時のチャーリーのフォロー、チャーリーのソロの時のキースのバッキング、どちらも素晴らしい。この2人は、恐らく、スタンダーズよりも、クリエイティブな意味で合っている。 そして、テーマの後奏。デューイが淡々とテーマを吹く間、キースは即興する。そのツッコミが空間を広げる。 その後の爆発的歓喜。生が一瞬の祝祭であることの歓喜。ポールのドラムのなんと単純で明るいビート。デューイは慎ましやかに、キースはエロティックに、喜びを歌う。 そして、それは次第にフェイドアウトではなく、1人ずつ抜けていく。誰かしら、知らぬ間に旅立つように。しかし、それは悲しみではない。覚悟の飛翔だ。 「2」はキースとチャーリーのデュオ。題名通り、「祈り」にも似たテーマ。その後は、どちらがソロ、という形ではない、コレクティブ・インプロピゼーションになる。2人とも、テーマの持つ意味から離れず、しかし依存せず、お互いを思いやり、しかし甘やかさず、立場を入れ替わりながら即興する。その10分12秒は、厳密に作曲された素晴らしい音楽と同等、あるいはそれを超える体験をもたらすことのできる、即興演奏という方法の生んだ奇跡の一瞬の一つに数えて良い。本当に素晴らしい。チャーリー・ヘイデンは本当に良いです。 「3」ではキースはソプラノ・サックスとピアノを演奏する。拙者の嫌いなオーバーダブだが、気にならない。マイルス・デイビスの「ネフェルティティ」のように、マイナー調のテーマのヴァリエーションを淡々と繰り返しているようにも聞こえる。しかし、曲名の表す「偉大な鳥」の飛翔は分からない。拙者は、アメリカ先住民族の祝祭、祈りを表現しているようにも聞こえる(それは、本質ではないかもしれないが)。どっしりと支え、サウンドの殆どの雰囲気を規定しているチャーリーのベースが素晴らしい。 「スタンダーズう?」正直、ちゃんと聴いてないから分からない。でも、キース・ジャレットの、拙者にとっての最高傑作は本作であり、他の作品はみんな駄作だ(今のところ)。 生と死の幻想 ▲
by jazzamurai
| 2008-01-18 02:32
| 無節操 ジャズ三昧
![]() Charles Brackeen (ts,as) Don Cherry (tp) Charlie Haden (b) Ed Blackwell (dr) A1.Rhythm X 2.Hour Glass B1.Charles Concept 2.C.B. Blues クリフォード・ジョーダンの名盤、「イン・ザ・ワールド」を出している、ストラタ・イーストのドルフィー・シリーズの4枚目。 ブラッキーン33歳の録音で、名高いオーネット・コールマン・カルテットのメンバーを従えての録音だが、はっきり言って「おっす、先輩っ、胸を借りますっ」の状態。コールマンに敬意を表するのは分かるけど、ここまでコンセプトを似させなくても良いのに。オリジナルで勝負した所は認めますが。 チャーリー・ヘイデン36歳の演奏がメチャメチャ良い。録音が一番前で、音が大きく録られている。全曲でソロをとっているが、歌いまわし、鳴り、共に素晴らしい。 エドのドラムはえらく奥で、音も悪い(音の脱落もある)が、躍動感があって楽しい。叩き過ぎじゃねーか、と言いたくなる所もあるけれど。 ドンは何時も通りですね。パカーンと明るい演奏をしています。 誠実さは買いますが、ブラッキーンの演奏は印象に残らないなあ。 全く脈絡なく、本アルバムを取り上げたのは、東京出張の際、お茶の水のディスクユニオンのオーディオ館で、レイカのバランスウォッシャーなるレコード洗浄液を購入しまして、試しにこのレコードを拭いてみたからなんです。 このレコード、買った時は壮絶に埃っぽくて、石鹸水で汚れを取り、水道水で洗ったのですが、カルキが残ってやっぱりノイズだらけだったんですね。そういう状態の悪いレコードだったので、試しにやってみたのですが、キレイになりました。元々の録音の悪さは治りませんが、明らかにノイズは減り、音が立ちました。やっぱり凄いもんですねえ。 って、ブラッキーンは関係無しかいな。
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by jazzamurai
| 2007-11-23 02:21
| 無節操 ジャズ三昧
![]() Don Cherry (tp) Carlos Ward (as) Frank Lowe (ts) Dewey Redman (ts) Carla Bley (p) Charlie Haden (b) Ed Blackwell (ds) Paul Motian (Per) Moki Cherry (Sitar) Selene Fung (ching) Leroy Jenkins (violin) and others A1.Tantra 2.Mali Doussn' Gouni 3.Desireless B1.The Queen Of Tung-Ting Lake 2.Trans-Love Airways 3.Infinite Gentleness 4.March Of Hobbits JCOA企画の3つめ、らしい。ドン・チェリー36歳の作品。「RELATIVITY SUITE」とは、アインシュタインにちなんでか、「相対性組曲」と訳されているが、「関連性」とか、「相互依存性」とか、様々な文化のゴッチャマゼを意味しているのかもしれない(これは、ネットの受け売り・・・・)。 A面は1曲目、表題通りの真言から始まって、チリリンと鈴の音が鳴らされる。暫くすると、ピアノとベースのユニゾンにより美しいリフが繰り返されるが、その上をフランク・ロウのフリーブローがのたうち回る。2曲目もシームレスでピアノとベースの別のリフが奏でられ、ドンが訳の分からないアジテーションの様な叫びの様な声を上げ、ホーン陣は地声で相槌を入れる。そして、またフランク・ロウのフリーブローが現れ、どんどん混乱していく。 それが終わったかと思うと、3曲目、シームレスにハープの様にピアノが鳴らされ、その美しい世界をカーロス・ワードの良く鳴っているアルトサックスが、ドン作曲のメチャメチャ美しい印象的なテーマを1度だけ吹き、終わっていく。 B面は1曲目、中国(?)のchingという楽器が長く奏でられ、ドンのペットで一度主旋律が奏でられて終わり。 2曲目、シタールとチェロの伴奏を得たドンがインドっぽいテーマを歌った後、チャーリー・ヘイデンのベースソロが明るく歌う。テーマに戻って終わるが、チャーリーの躍動感あるベースは鳴っている。 3曲目、何故か、カーラの沈鬱なピアノと、リロイ・ジェンキンス率いる弦楽器隊が対決。何のこっちゃ、さっぱり掴めません。 4曲目、奇妙なマーチに乗ってみんな合奏。エド・ブラックウェルのドラムソロが上手い。 はっきり言って、とりとめのない、おもちゃ箱をひっくり返した様な作品だが、A面のオリエンタルな雰囲気は聴かせるし、それまでの展開と全く関係が無いのですが、1分と短いA3はバラードの名曲で、拙者は聴く度に涙出そうです。曲が良すぎて、アドリブができなかったのだろうか・・・・。 5日間をかけたワークショップの集大成の録音にしては、短すぎて意図が伝わりにくくなったのだろうか。それとも、別の日に録音したのが悪かったのか。まとめようとして、全然まとまっていない所が、まーFree Jazzの良い所というか悪い所というか・・・・。 でも、片意地張らず、自由です。こういう曲は、ドン・チェリーにしか演奏できなかっただろう。 ドンの演奏した組曲風のジャズ・オケとしては「永遠のリズム」の方が良くできているかな・・・・。
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by jazzamurai
| 2007-10-02 00:05
| 無節操 ジャズ三昧
![]() Jan Garbarek (sax) Egberto Gismonti (guiter,piano) Charlie Haden (bass) 1.Bailarina 2.Magico 3.Silence 4.Spor 5.Palhaco 昨日今日と、京都市左京区には本当に心地よい春の青い空が広がりました。日に当たれば暑いくらい、でも窓を開ければ家の中を涼しい風が吹き抜けました。 今日は、岩倉の家の玄関の階段がきつくなってきた拙者の両親が、少し町中の平屋の家に引っ越すのを手伝いました。色々な問題があって、明るい気持ちだけではいられませんが、爽やかな風を感じていると、前向きな感じも出てきます。 そんな気持ちの春にぴったりのCDがこれです。 ノルウェーのガルバレク、ブラジルのギスモンティ、アメリカのヘイデンという、この3人の録音を行ったECMレコード社長、マンフレッド・アイヒャーは素晴らしい。 独特の歌うフレーズとともに、野太く支えるヘイデン、爽やかなギターバッキングのギスモンティの中で、少し冷たい肌触りのするガルバレクのソプラノ・サックスがきれいなテーマを奏でる時、美しいものは美しいとしみじみと思うわけです。 特にギスモンティ作曲の2、5曲目が良い。もう20年以上聴いていますが、少しだけギターがダビングされている所があるものもの、シンプルな演奏であるにもかかわらず、聞き飽きない良い盤です。 Magico ▲
by jazzamurai
| 2007-04-30 19:18
| 無節操 ジャズ三昧
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