Tracey Thorn / A Distant Shore （遠い渚）

1982年、イギリス、cherry　Red。
Tracey Thorn　（g,vo）

1. small town girl
2. simply couldn’t care
3. seascape
4. femme fatale
5. on my mind
6. night and day
7. dreamy
8. plain sailing
9. new opened eyes
10. too happy
エブリシング・バット・ザ・ガール（EBTG）結成以前、イギリスのマイナーレーベルであるチェリーレッドに残された、トレイシー・ソーン19歳の録音。当時大学生のソーンが夏休みを利用して作った、最初のソロ・アルバム。オケは、アコギ一本である。
いわゆるネオ・アコの走りでもあるし、日本人が好きな似非ボッサでもある。
拙者が初めて聴いたのは鬱屈した高校生時代だったが、友人だったか、弟だったかに聴かされたこの盤は、しかしながら、拙者の聴いていた音楽（プログレとフリー）とは全くかけ離れた世界から流れ出たものとして、薄く甘酸っぱい新鮮な印象を与えた。以来、折に触れて聴いてきた。
やっぱり、トレイシー・ソーンの声は、コクトー・ツインズのエリザベスの声と同クラスの存在感を持つ声で、こんな素晴らしい声の人はなかなかいない。ギターの腕はそれなりで、時折怪しいが、大きめに録られた声に耳を傾ければ、夏から秋にかけての海岸に吹く風のように、心にちょっとおセンチな感情を残していく。
相棒のベン・ワットのソロ「ノース・マリン・ドライブ」は冬に聴きたくなるけれど、本盤は丁度今時から秋にかけて聴くのが宜しい。先日の伊勢旅行の際も、カーステで聴いたけれど、とても良かった。
なお、最近出た日本版紙ジャケCDには、EBTGのデビューシングルである、「Night & Day / On My Mind」が追加されている。

ア・ディスタント・ショア(紙ジャケット仕様)　　A Distant Shore