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1983年5月13日~6月10日
take one studio 浅川 マキ (vo) 向井 滋春 (tb) 本多 俊之 (as,ss,fl,p) 後藤 次利 (b) プロデュース Cecil Monroe (dr) Tristan Honsinger (cello) 大村 憲司 (g) 国吉 良一 (syn) 松武 秀樹 (syn pro) A1.まだ若くて (浅川/後藤) 2.ともだち (浅川/後藤) 3.あの男がよかったなんてノスタルジー (浅川/後藤) 4.町の汽船 (浅川/本多) 5.時代に合わせて呼吸する積りはない (浅川) B1.暮らし (浅川) 2.霧に潜む (浅川/向井) 3.最後のメロディ (浅川/後藤) 4.コントロール (浅川/後藤) マキ15枚目、41歳の作品。「Cat Nap」の次作にあたる。この頃、彼女の心の扉を叩いていた男たちが集まって、時代を超えて前に進もうとする浅川マキの音を作っている。 これも拙者が非常に好きな作品。「幻の男たち」ツアーで演奏された曲が沢山入っているから。 アレンジャーとして、中島みゆきや、ジュリーの「TOKIO」等を手がけていた後藤は、この頃、既に女性アイドル向けの作曲を大量にこなしていた。85年からはニャン子クラブを手がけるようになる。嘘みたいな話だが。 マキのセルフ・ライナーに良いことが書いてある。82年の夏のオールナイト公演で、近藤等則と後藤次利がぶつかった。「牙を持つ」男たちが出会えばそうなるのは当然かも知れないが、暮れの公演の時には、男たちは一つのベンチに腰掛けて話し込んでいた。男たちの世界はマキと関係なく展開していく。「いつもそうなんだから」とマキは思う。 そして、古い付き合いの向井、この時期必ず付き添っていた本多、これから、長い付き合いになるセシルがいる。マキがプロデュースを手がけることになる、トリスタンがいる。 この年は、マキにとって大きな存在だった、寺山修司が亡くなった年だった。そして、歌われていることの多くは、「幻の男たち」のことである。 そういう時代の真ん中で、このアルバムは録られた。マキの声以外は、ホントにこの時代の音。だからと言って、これからどれ程の年月を経ようと、この音が古くなることは無い。サウンドテクニックや機材を言い当てたって、何の意味も無い。この音楽は、切ない現実から出発しながら、既にこの世のものではないのだから。 いきなり、とても時代の匂いがする、ディスコビートが刻み、ニューウェーヴな雰囲気のギターが炸裂する「A1」。まるで中期YMOの時と同じ音の大村が物凄い違和感。そして強烈な後藤のチョッパー・ベース。前作の近藤等則プロデュース時の、飛田+杉本のツインギターとはえらい違い。 これも強烈なチョッパーのリフに乗ってのコレクティブインプロになっている「A2」。トリスタンのアナーキーなセロ、向井の太い音の存在感。 ちゃんとしたウェットなアレンジを施せば、きっと良いバラードになるはずの名曲「A3」。サウンドのコアが声しかなくて、後藤も、トリスタンも即興で浮遊する。まるで、幽界のストレンジ・バラード。最高です。 明るいフュージョンのような「A5」も良い。コーラスだかオクターバーだかを咬ましたチョッパー・ベースが延々と同じリフを奏でる上で、ちょっとファンクにボーカルとアルトがユニゾンする。 問題曲「A5」。「時代に合わせて呼吸する積りはない」と電話の向こうで言った男に対して、わたしは好きな男の名前を言えなくなってしまった、という落ちが好き。西部講堂のライブの時、マキは「わたしってミーハーだから」と言っていた。嘘だろう、と思ったけれど、実際のところ、そうなのかもしれない。でも、それが良い。 ダブの「B1」。こんな音がマキのレコードに入っているなんて、ね。でも、描かれた歌の世界は、まるでマキの私生活そのもののよう。なんとも、退廃的というか、幻想的。これも幽界との対話ですね。 向井作の「B2」も大好きな曲。でも、ここでも大村のギターの違和感が凄い。かえってサビでボーカルとベースだけになって静かになるのが不思議なアレンジで、その後の向井のソロが素晴らしいんよね。 ベースを5回入れてオケを作った「B3」。メロディはキャッチーなのに、これも不思議な孤独感。この感覚に近いのは、ジョイ・ディヴィジョンの「クローサー」の最後の曲、「ディケイズ」だろうな。 シングルカットの「B4」。最も、この頃の歌謡曲に近づいたメロディだと思う。ディレイの効いた大村のギターが強烈に時代を映し出す。これを最初に聴いたオールド・ファンはぶったまげただろうな~。 拙者は大好きだけど。 浅川マキのアルバムを取り出して聴く時、どれ一つとして、その時代と、男たちの匂いを放たない盤は無いと感じる。その一枚一枚が今となっては全てロマンティックだし、ノスタルジックだ。だが、絶対に風化しない。奇をてらった鮮烈さとは一線を画するからだ。そういう風になるように作っていたとしか思えない。何時までも、そこに収まりきれず、熱を帯びたまま、違う世界に存在している。 今でも、暗い街角のアパートで、一人、古いステレオに盤を乗せて聴いている、マキがいるような気がしてならない。
by jazzamurai
| 2010-02-09 01:30
| 無抵抗 女性歌手三昧
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